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コムシで研究?

コムシを使った研究って、いったいどんなことをするのでしょう?

ここでは、コムシを使って私(関谷薫)が進めている研究についてご紹介します。

昆虫類の起源に迫る

昆虫というと、とてもよく調べられていて、いろいろなことが良くわかっていると思われがちです。ところが、昆虫がもともとどんな形の祖先から進化してきたのか? その進化の過程でどのように姿形を変えてきたのか? 昆虫に近い親せきは? など、まだ分かっていない疑問、最近ようやくわかってきたことなどがたくさんあります。

 

タイムマシンで過去に戻ることはできないので、昆虫の祖先を知る手がかりとして、今いる生き物を比べて、共通する特徴を見つけるという方法があります。

体の特徴、体の作り方の特徴、遺伝子の特徴などを調べて、比べることで、共通の祖先がどんな特徴をもっていたのか、そこからどんな変化があって今の生き物に繋がったのか、を調べていくのです。

 

コムシ目は、昆虫類が翅を獲得する以前に分岐したグループに由来し、原始的な特徴をいくつも残しています。たとえば、昆虫の腹部の肢は退化してしまっていますが、コムシには腹刺(ふくし)とよばれる退化的な小さな肢が残っています。

では、みなさんがよく知るトンボやチョウのような有翅昆虫類と、コムシ目はどんな共通の祖先からわかれてきたのでしょう?

さらに、もっとさかのぼって、節足動物の中でどんな風に昆虫の仲間が現れてきたのでしょう? 気になりますよね。

 

私は特に、コムシ目の卵の中で体が作られていく過程を詳しく調べ、周りのグループと比べることで、昆虫の今の姿形がどこからどう現れたのかを解き明かそうとしています。

コムシは昆虫の起源を知る上でカギを握るグループの一つ!

コムシの卵(殻をはずしたもの)を、薬品で染め、蛍光をあてて観察した写真です。

下の方が体になる部分で、暗く見えている丸い部分は卵黄。

ちなみに左が頭です。

日本産コムシ目相全解明を目指して

コムシ目は、世界に約800種類いると言われています。日本からは、12種類が知られています。

 

ところが、コムシを採って名前を調べてみると、今知られているどのコムシとも特徴が合わない、ということがよくあります。つまり、科学的に名前がつけられていない種類(未記載種:みきさいしゅ)がまだたくさんいるということです。

 

これまでに、日本の各地からたくさんの未記載種が見つかっています。

また、どこにどんな種類がいるのかも、実はほとんど情報がありません。

みなさんがコムシを採っても、名前を調べる方法がほとんどないのが現状です。

本当に、わかっていないこと、わからないことだらけです。

 

日本にどんなコムシがいるのか? どこにどんな種類がいるのか? 情報を集めて体系立てて整理したり、まだ名前のついていないコムシに名前を付けたり、という研究もおこなっています。

 

ゆくゆくは、このページでもコムシ図鑑ができればいいなぁと思いつつ・・・

 

 

 

銀色に輝くウロコをもった、ウロコナガコムシ。

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