コムシのセカイ
コムシってどんな虫? 土の中に住んでいるコムシたちの世界と、
コムシ研究の諸々を紹介します。
コムシの特徴(とくちょう)
コムシをみると、「ムカデみたい」という人がいます。でもよく見てみると肢(あし)は 6 本です。
コムシには翅(はね)はありません。目(め)もありません。
他にはどんな特徴があるでしょう?
ナガコムシ亜目の一種 側面図(→:腹刺, ふくし)
コムシ目の特徴には、次のようなものがあります。
1. 翅(はね)がない
2. 単眼(たんがん)・複眼(ふくがん)がない
3. 節触角(ふししょっかく)をもつ
4. 腹部は 10 節からなる
5. 腹部後端に一対の尾毛(びもう)がある。ハサミコムシ亜目ではこの尾毛がハサミ状になっている。
6. 腹部の第 1 節から第 7 節まで、腹刺(ふくし)や腹胞(ふくほう)という “肢の名残(あしのなごり)” がある。
1. 翅(はね)がない
コムシ目は昆虫の祖先が翅をもつより前に、昆虫の祖先から分かれて違う道をたどってきました。コムシにはそもそも翅を作る能力(仕組み)がありません。同じ翅をもたない昆虫でも、アリやノミ・シラミなどは、翅を作る能力はあるけれど作るのをやめてしまったグループです。
2. 単眼(たんがん)・複眼(ふくがん)がない
コムシ目には目(め)が全くありません。土の中という暗いところで生きているので、
モノをみる必要がなくなってしまったのだろうと考えられます。
透明なガラスの板の下でも、石の下にいるときと同じように安心しているので、光もほとんど感じていないのかもしれません。
3. 節触角(ふししょっかく)をもつ
コムシ目は節触角とよばれる特徴的な触角をもっています。ゴキブリの触角が動くのをみたことはありますか? 普通の昆虫の触角は、根元の数節にだけ筋肉がついており、鞭(むち)のように動かすことができます。一方、コムシの触角は全ての節に筋肉がついているため、全ての節間を曲げることができ、触角をくねくねと動かすことができます。
このような節触角は多足類(ムカデの仲間)にもみられます。コムシをみて「ムカデみたい」と感じる人は、この触角の "くねくね" に気づいているのかもしれませんね。
4. 腹部は 10 節からなる
コムシの腹部は、10 の節からできています。第 9 節は他の節に比べてとても短く細いので、うっかりすると見落としていまいそうですが、数えてみるとちゃんと 10 節あります。普通の昆虫は腹部が 11 節からなります(でも、多くの場合は節同士がくっついてしまい、11 節を数えることはとても難しくなります)。どういう訳か、コムシは腹部が一節少ないのです。
5. 腹部後端に一対の尾毛(びもう)がある
コムシの第 10 節には尾毛があります。ナガコムシ亜目ではたくさんの節からなる糸状の尾、ハサミコムシ亜目では固いハサミ状になっています。昆虫の多くも、腹部の第 11 節に尾毛をもっています。ぜひ、カマキリやゴキブリのおしりをみてみてください。ハサミムシのように、尾毛がハサミ状になっている昆虫もいます。
6. 腹部の第 1 節から第 7 節まで、腹刺(ふくし)や腹胞(ふくほう)という “肢の名残(あしのなごり)” がある。
コムシの腹部には、腹刺とよばれる突起があります。写真の→で示している部分が腹刺です。普通、昆虫の腹部では肢は退化しており、一部の幼虫(イモムシ)を除いて腹部に肢はありません。しかし、コムシの腹部には小さい腹刺という形で肢が残っています。腹刺は前後に動かすことができ、体を支えるなどの役割があるのではないかと考えられています。
コムシ目は昆虫が翅をもつより前に分かれたグループ